1.アスリートのお子さんを持つ親の皆さんへ

 

サッカーのヘディング、アイスホッケー、体操などでの転倒、フットボールのタックル、そして交通事故などで起こる軽度外傷性脳損傷(MTBI)について

Center of Disease Control and Preventionのレポートによると2001~2009までで、軽度外傷性脳損傷で治療を受けた19歳未満の運動選手はアメリカで毎年173千人に上るそうです。

軽度外傷性脳損傷とは?

「軽度脳損傷」という名前は明らかに紛らわしい言い方です。「軽度」という言葉は怪我が起こった時の身体的な怪我の大きさを表していて、その結果として起こる様々な症状や障害の重さを表しているのではありません。

The Centers for Disease Controlによると、 軽度外傷性脳損傷とは、脳への鈍的外傷、加速性もしくは減速性の外傷からくる脳への怪我であるとしています。それは、今回の見出しの運動や事故によって起こる可能性がある脳への障害のことで、以下の症状のうちの一つもしくはそれ以上の症状がある場合それに当てはまります。

混乱、方向感覚のづれ、意識の喪失、事故の前後の記憶がはっきりしない

小さい子供

                頭部の怪我のあとの痙攣、引きつけ、いらいら、疲労、そして嘔吐

 

少年期から成人

                頭痛、めまい、イライラ、疲労感、そして集中力の欠如などが頭部への怪我の直後に見られた場合はたとえ意識の喪失や混沌がない場合でも「軽度外傷性脳損傷」と診断をつける。

と示しています。

 

軽度外傷性脳損傷症状まとめ

早期症状は

                頭痛、立ちくらみ、めまい、周囲への注意力低下、記憶障害を伴うもしくは伴わない吐き気、嘔吐

後期症状は

                慢性の軽度の頭痛、ふわふわ感、集中力、注意力低下、疲労感、光過敏、焦点が合わない、音過敏、耳鳴り、不安症、落ち込み、うつ、いらいら、怒りやすい

などです。サッカーのヘディングの繰り返しやフットボール、ホッケーでの他選手とのハードコンタクトもしくは転倒、体操での転倒、落下、スケートボードなどでの転倒、ムチ打ちなどの交通事故でも軽度外傷性脳損傷は起こっています。Psychological Medicine2011年の研究によるとMTBIを起こした子供は記憶、集中力、思考力などに長期的な影響が出ているとしています。また脳にある空間マップが衝撃で実際の空間の位置関係とずれてしまうことで、運動機能や、行動にも影響が出ることがわかっています。

Dr.よしざわは脳神経系の診察そして治療の専門医で、軽度外傷性脳損傷の診断そして機能回復のための治療も行っています。上記のような症状が見られる場合はすぐにご相談ください。

 

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2.知らずにいると怖いグルテン過敏症

 

皆さん、「グルテン過敏症」はご存じですか?アメリカでは随分前から、そして日本でも最近少しずつ「グルテン過敏症」という言葉を聞くようになってきました。

グルテンとは

グルテンは、麦などに含まれるタンパク質の一種です。麦の80%は炭水化物で、15%がタンパク質、そして残りは脂質です。このタンパク質の80%がグルテン質で、パンなどを食べた時のモチモチ感や天ぷらのサクサク感はこのグルテンから来ています。

麦の遺伝子操作

麦の効率のよい収穫のために1943年から現在に渡りメキシコなどで遺伝子操作などを行ったことで麦の遺伝子が変わってしまい、グルテンの濃度も濃縮されてしまったようです。それに人間の身体が拒否反応を示すようになってしまったのでしょう。

アレルギーと過敏症はどう違うの?

アレルギーは、IgE抗体という免疫が反応してヒスタミンが分泌されるので、すぐに身体がアレルギー反応を出しているのがわかります。ところが過敏症は違う免疫反応で、リアクションは遅れて出ることが多いために明らかに食べ物と身体に出る反応が結びつきにくく、知らずに長い間そのままにされている場合が多いのです。

グルテン過敏症とシリアック(Celiac Disease)はどう違うの?

グルテン過敏症とシリアック病は違います。 シリアック病は、グルテンに身体が過剰に反応し様々な症状や病気の原因になってしまう自己免疫疾患の一種で、133人に1人の割合で発症していると言われていますが、診断されずにいる人が殆どで今のところ治療法がありません。グルテン過敏症は一過性の可能性もありますし食事療法などで鎮静することもあります。

グルテン過敏症の症状

頭痛、首のこりやはり、手足のむくみ、激しい眠気、頭がはっきりしない、筋肉や関節の痛み、筋肉のつり、ピクピク、吐き気、立ちくらみ、めまい、目のかゆみ、涙目、鼻詰まり、耳の圧迫感、耳鳴り、喉の痛み、及び痒み、喉の枯れ、飲み込みにくい、音や光に過敏、動悸、不整脈、胸の圧迫感、心配性、パニック症、慢性疲労、不眠、精神不安定等です。

グルテンを含む食品は

1.                    麦製品一般:パン、麺類、醤油、ソース類、スープ類、ビール

2.                    ある種のアイスクリーム

3.                    冷凍食品

4.                    イミテーションの蟹

5.                    チョコレート

6.                    封筒や切手の糊

またOatや飴のコーティングなどにも含まれています。

診断法

唾液や血液による抗体の検査が主流ですが、排除法による食事法で判断することも出来ます。

治療法

 

免疫の調整、脳の調整、腸壁の修復、排除法食事療法などを当医院で行っています。

 

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3.知らないと怖い交通事故による脳へのダメージの話

 

交通事故に遭うと事故の大きさに関わらず身体にはかなりの衝撃が加わります。その結果身体のいろいろなところに怪我をしてしまうことなります。交通事故の怪我というと、よく知られているのは「むち打ち症」ですが、衝突の瞬間に強く頭を振られる衝撃から、実は脳や小脳、中枢神経系、および自律神経系にもダメージを受けている事が多いのをご存知でしょうか?これをClosed Head Injuryと言います。交通事故以外でClosed Head Injuryが起こりやすいのはコンタクトスポーツです。特にボクシング、ホッケー選手や、アメリカンフットボール選手などがこの怪我によって選手生命が危機にさらされる状態になることも少なくありません。重度の場合、脳からの出血や神経系が切断されたり、髄液がもれ出てしまったりということが起こりますが、軽中度の場合は、MRIなどでは悪いところをみつけることが出来ません。怖いのは軽い交通事故でもこの怪我が起こる可能性があるという事です。しかも軽い交通事故の場合は、症状が出ていても何の処置もされずに放置されてしまい、後で後遺症に悩むというケースも少なくありません。交通事故の治療は、硬くなった筋肉をほぐしたり痛みを和らげるだけでは不十分な場合が多いのです。交通事故による怪我で脳や神経系への影響がある場合の症状は、

1.頭痛やしびれ

2.ひどい肩のこり

3.ふらつき、めまい、立ちくらみ

4.動悸、呼吸が苦しいなどの自律神経失調の症状

5.一時的な記憶障害

6.光に過敏、焦点が合わない、物が2重に見える

7.聞こえにくい、耳鳴り

8.しゃべりにくい、飲み込みにくい、喉が詰まっている

9.匂いや味が変わった

10.            不眠もしくは過度の眠気

11.            食欲がない、吐き気、下痢など消化器系の症状

12.            力が入りにくい

13.            極度の疲労感

14.            集中力の欠如

15.            パニック症状

16.            うつ症状

等です。

ひどい肩のこりや、頭がはっきりしないなど、放っておきがちな症状が実は交通事故などの後遺症の場合もあります。機能神経科医は、脳や神経系の症状の検査及び治療の専門家です。交通事故にあって上記のような症状がある人は、症状が軽くても脳や神経系に影響が出ている可能性があります。まずは専門家にご相談ください。

 

 

交通事故に合った時の為に知っておきたい基本的な怪我の仕組みや保険の知識は当医院のウェブサイトwww.dryoshizawa.comで見ることが出来ます。参考にしてください。

 

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4.健康の常識を疑うシリーズ1

「小腸バクテリア過剰繁殖症」

プロバイオティクスって本当に身体にいいのでしょうか?

 

実は世間で身体に良いと言われている情報が人によっては反対に健康を害する可能性も持っていることがあります。今回はその一つ、プロバイオティクスと腸のバクテリアの居場所についての話です。

 

 

まずは私の専門である脳の豆知識

脳の側面少し中側に島皮質という場所があります。そこは、身体の内部の環境特に内臓、外部と自分の位置関係、そして感情などのコントロールをしていて、空腹感、体温、そして自律神経調節などをしている視床下部とも連絡を取りながら生命維持にとても大切な働きをしています。最近では酒、タバコやコカインなどの薬物に対する習慣性との関連も研究されているとても興味深い部分です。島皮質は、内臓と心をつなぐ大切な脳の一部なのです。

ストレス、ストレス、ストレス

ストレスの影響でしょうか、自律神経失調の患者さんがとても増えています。簡単に自律神経失調症と言いますが、人間には上記以外にも何種類もの自律神経調整システムが複雑に絡み合っています。その中でも島皮質や視床下部は最も大切なコントロールシステムです。その働きがストレスによって壊されてしまうのでしょう。島皮質は大脳辺縁系に隣接していることからも精神的なストレスが特に大きな鍵になっているのだと思います。

ストレス等によって自律神経が失調すると

腸の煽動運動が低下し消化液分泌が低下します。それを「機能性ディスペプシア」、簡単に言うと消化不良と呼びます。実はその状態で発酵食品、プロバイオティクス、炭水化物、そして飲酒などが重なると、大腸ではなく小腸に菌やバクテリアが過剰に繁殖してしまい健康を害してしまうのです。健康にいいはずのバクテリアでも、居場所を間違うと害になるんですね。これを小腸バクテリア過剰繁殖症と呼んでいます。

小腸バクテリア過剰繁殖症の症状

1.みぞおちや心臓の周りが痛い、吐き気がする

2.胸焼け

3.食後すぐ、もしくは食事中の膨張感

4.すぐにお腹がいっぱいになる

5.消化不良、ガスがたまる

6.身体の痛みやむくみ

等が代表的な症状です。

とくに、炭水化物、ヨーグルト、そしてプロバイオティクスを摂ることでかえって調子が良くないと感じる人はそれらの摂り過ぎに注意が必要です。

診断法

Breath Testが一般的ですが、一般の血液検査の総タンパク質量などでも消化液の分泌量の目安がわかり上記の症状を合わせれば比較的簡単に診断ができます。

治療法

機能神経科治療による自律神経の調節、内臓矯正、特別な食事指導等です。自分でできる事は、最低1月間は

1.食べものをよく噛む(32回)

2.砂糖などの糖分、炭水化物食を控える

3.発酵食品を控える

4.プロバイオティクスのサプリを摂らない

5.飲酒を控える

等に気を付けてみてください。それでも症状が変わらない場合はご連絡ください。

 

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5.ニキビと女性なのに男性ホルモン過剰

 

女性でも男性ホルモンを分泌しているのをご存じでしょうか?当医院に来院する女性の中で男性ホルモンの過剰分泌をしているケースをたくさん診ます。それを英語でAndrogen Dominant、日本語にするとアンドロゲン(男性ホルモン)優位性と呼びます。実はこれによって、肌の健康だけでなく、声の質の変化、体毛がこくなる、怒りっぽい、そして成人病になりやすくなるなど健康に重要な変化が引き起こされてしまうのです。またホルモンバランスの崩れから、うつやパニック、不安症、そして不眠症を引き起こす事も知られています。

 

ニキビが背中に増殖してしまい、慢性的な炎症と感染症で皮膚が変色してしまっていた女性のケース

生理不順で受診した30代女性のケースですが、背中にニキビが増殖してしまいひどいニキビ跡ができていました。皮膚科などにも相談されたそうですが、いろいろな治療をしてもあまり変化がなかったとのこと。まずは唾液によるホルモンバランス検査をしたところ、エストロゲンと男性ホルモンであるテストスタロンが過剰分泌されていました。そこで自律神経調整や肝臓の代謝を良くする治療と、女性ホルモンと男性ホルモンバランスを整えるビタミン剤とハーブの混合剤を摂取してもらうと、2ヶ月目から生理が順調になりはじめたのですが、驚くことに4週間目くらいからニキビが確実に減少したことに気づきました。ニキビ跡が完全に消えるまでにはまだ時間がかかりそうですが、新しいニキビも出なくなり生理不順が改善されただけでなく、長い間悩んでいた過剰なニキビの増殖が良くなったことに大変喜んでいました。

 

男性ホルモン過剰分泌があると

おでこ、頭部や背中などにニキビが出やすくなる

皮膚が荒れる、フケが出る

体毛が増える

イライラ、怒りっぽい

だけでなく、多嚢胞性卵巣症候群や、血管壁が弱くなることで心臓血管系疾患にかかりやすくなる事もわかっています。

 

どうやって検査するのでしょうか?

唾液で検査できます。当医院では副腎機能とホルモンバランスとグルテン過敏症検査をセットにして検査しています。ホルモンバランスの崩れるパターンは何種類もありますので、その結果によって、使うサプリメントも変わります。なんとなくテレビや雑誌の情報や噂に流されて良さそうなサプリを手当たり次第試すよりも確実に必要なサプリを判断することが出来ます。

 

なぜ男性ホルモンが増加してしまうのでしょうか?

一番の原因はストレスです。次に食生活、睡眠などの生活習慣です。特に砂糖や炭水化物の摂り過ぎ、お酒の飲み過ぎ、そして睡眠不足は大敵です。

 

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6.免疫の話パート1

めまいとグルテン過敏症

 

 我々の身体には優秀な免疫システムが備わっています。ところがその働きがストレスや生活習慣などによって弱まったり狂ってしまうことで、感染症にかかりやすくなるだけでなく、最近では免疫が自分の身体を攻撃してしまう自己免疫疾患という病気が増加していて、アメリカで2千4百万人が何らかの自己免疫疾患を持っているという統計もあります。(The National Institutes of Health) また免疫が弱まれば癌細胞の増殖スピードを止められなくなることで癌になりやすくなることも知られています。ただ、単に免疫が強ければいいわけではなく、大切なのは正常な免疫機能のバランスを保つ事です。今回はまず免疫の話パート1ということで、めまいとグルテン過敏症について話します。

 まずアレルギーと過敏症の違いを整理しましょう。簡単に言うとアレルギーはヒスタミン反応が出る急性の免疫反応で、過敏症は遅延反応と言われヒスタミン反応が出ずに明らかな反応が出ないタイプの免疫反応を言います。ですから、アレルギーと過敏症は全くの同義語ではありません。実は過敏症は症状がよくあるアレルギー症状と異なることから、殆どの場合食べたものとの関連に気付かずに長期間放置され、免疫システムのバランスを崩して知らずに健康を害している可能性があり、反応が明らかなアレルギーよりも厄介な面を持っています。

 

過敏症の代表といえばグルテン過敏症です。グルテン過敏症によって起こる可能性が示唆されている症状は、

  1. うつ、パニック症
  2. ADHD
  3. ブレインフォグ(頭に霧がかかっている)
  4. 免疫バランスの崩れ
  5. 自己免疫症
  6. 偏頭痛
  7. 慢性疲労
  8. ホルモンバランス、副腎疲労
  9. 体重増加、減少
  10. 筋肉や関節の痛み
  11. 皮膚炎

等ですが、実はグルテン過敏症とめまいには関連があります。

メニエール病(激しいめまいの原因)の50%以上の患者さんがグルテン過敏症であったという研究もあります。グルテン歩行失調というグルテンに関連した自己免疫が小脳を攻撃することで歩行困難になってしまう病気もあります。原因不明のめまいが実はグルテン過敏症から起こっていることも少なくないのです。

 

グルテン過敏症のテストはいくつかあります。

 

1.      グルテン過敏症スクリーニングテスト$115

2.      最もセンシティビティーが高いグルテンコンプリートテスト$325

3.      そして、前号で説明したホルモンテストに含まれているグルテン過敏症唾液テスト($180のホルモンテストの中に含まれている)

 

です。2のテストは陽性が見過ごされる可能性が最も低いコンプリートテスト、1と3はスクリーニングテストですので完全ではありませんが、ある程度信頼ができる簡単なテストです。患者さんの状況に応じて使い分けます。こういったテストではっきりと原因が究明されることでグルテンフリーダイエットも真剣に実施できるようになります。

 

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